女性泌尿器科外来

女性泌尿器科のご紹介
千葉メディカルセンター
女性泌尿器科 嘉村 康邦



女性泌尿器科とは?

泌尿器科というと、主に男性のための診療科であるように感じている方が多いかもしれません。実は泌尿器科の中には、“女性泌尿器科”という専門分野がきちんとあります。しかし日本では、女性泌尿器科のみを専門とする医師はまだ数少ないのが実情です。人間半分は女性です。女性でも、いわゆる“おしもの不具合”を抱えていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。子宮や膀胱などが腟から脱出する骨盤臓器脱や尿漏れといった不具合は、放っておいても死に至るような病気ではありませんが、その女性の生活の質は著しく低下してしまいます。何か活動をしたいと思っても、おしもの不具合があるために引っ込み思案になり、行動制限をしてしまうことで生活の質の低下につながるのです。女性泌尿器科とは、まさしくこのような生活の質を低下させてしまう女性の泌尿生殖器周りの障害を扱う診療科です。

どんな疾患を扱うのか?

骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤など)、尿失禁、過活動膀胱、低活動膀胱、間質性膀胱炎、腟瘻(膀胱腟瘻、尿道腟瘻など)、尿道憩室、 尿失禁術後合併症(尿排出障害やメッシュ露出など)などが女性泌尿器科の主な対象疾患です。

代表的疾患の概説

●骨盤臓器脱
女性は骨盤底に産道という穴が開いています。この穴を塞いでいるのが骨盤底筋ですが、この筋肉はいろいろな原因(多くは出産)で弱くなります。すると骨盤内の臓器を支えにくくなり、穴(=腟)から飛び出してきます。これが骨盤臓器脱です。治療は保存的治療と手術療法に大別されますが、その女性の生活スタイルにあった適切な治療法を選択することが重要です。(図1)

図1.骨盤臓器脱のMRI画像
膀胱瘤

膀胱が腟口から飛び出している
子宮脱

子宮が下垂している


●尿失禁
一般に①腹圧性尿失禁、②切迫性尿失禁、③①、②が共存する混合性尿失禁の3つが代表的ですが、これらをきちんと診断することがとても大切です。それぞれのタイプによって治療法が異なるからです。(図2)

図2.腹圧性尿失禁

腹部に力が加わる動作で尿が漏れる

●過活動膀胱
待ったなしの強い尿意(尿意切迫感)を感じる、頻尿、トイレに間に合わなくて漏れてしまうなどの症状がみられるのが過活動膀胱です。多くの方がお薬で改善しますが、難治性の方にはボトックス膀胱壁内注入療法や仙骨神経電気刺激などの治療法もあります。(図3)。

図3.過活動膀胱

尿意切迫感
急に起こる抑えきれないほどの強い尿意。

頻尿
昼間・夜間に回数が多いと感じる。

切迫性尿失禁
トイレまで間に合わず漏らしてしまう。


●間質性膀胱炎
細菌によって起こる急性膀胱炎とは全く別物の膀胱炎です。以前はまれな疾患と思われていましたが、近年非常に患者さんが多いことが分かっています。典型的症状は尿が溜まってきたときの膀胱の痛みと頻尿です。潰瘍型と非潰瘍型の2つのタイプがあり、それぞれに応じた治療が必要です。(図4)

図4.間質性膀胱炎

多くの場合尿が溜まってくると痛む

●膣瘻
まれな疾患ですが、持続性尿失禁となるため患者さんを精神的にとても苦しめる疾患です。骨盤内の手術後などに膀胱と腟に間に穴が開いてしまう膀胱膣瘻が最も頻度が高く、多くの場合腟からの手術で閉鎖することが可能です。

●尿道憩室
繰り返す尿路感染症や性交時痛、尿失禁、外尿道口からの膿、腟内違和感など様々な症状を呈します。医療者が疑わないと見逃されやすい疾患です。症状が強い場合は手術が必要で、劇的に症状の改善が見られます。

おわりに

女性泌尿器科について簡単に述べさせていただきました。
“おしもの不具合”はなかなか相談しにくいものです。しかしほとんどの場合、適切な診断・治療により症状の改善が得られます。
お困りの方はぜひご相談ください。

受診についてのお願い

<尿検査について>
診察前に尿検査を行っております。排尿できる位の状態でお越し頂けますようお願い申し上げます。採尿した結果をもとに診察をすすめますので、結果が出るまで多少お時間をいただきます。予めご了承ください。

<事前準備について>
スムーズに診察をすすめるため、以下の点についてご協力ください。
  • 脱ぎ着しやすい洋服でお越し下さい。
  • これまでかかった病気や手術など、わかるようにしておいてください。
  • 現在内服中の薬がありましたら、お薬手帳をご持参ください。
  • 今回の症状が、いつ頃から、どの部位に、どんな症状が存在するのか、まとめておいてください。

外来担当医表


女性泌尿器科 外来担当医表(★:非常勤医)
曜日
8:30~11:00
午前
× × × × 川名★
第2【休診】
×
13:00~15:30
午後
嘉村★ 川名★ × × 川名★(完全予約)
第2【休診】
×
お問合せ:043-261-5111(代) 泌尿器科外来

医師紹介

嘉村先生イラスト

嘉村 康邦(非常勤)

  • 専門分野
    女性泌尿器科
    資格等
    日本泌尿器科学会:専門医・指導医
    日本排尿機能学会:認定医
    日本女性骨盤底医学会:理事
    日本骨盤臓器脱手術学会:副代表

川名先生イラスト

川名 庸子(非常勤)

  • 専門分野
    女性泌尿器科
    資格等
    日本泌尿器科学会専門医
    日本女性骨盤底学会所属
    日本骨盤臓器脱手術学会所属
    日本排尿機能学会所属