スポーツ傷害とは

肩の傷害

反復性肩関節脱臼

スポーツ中の外傷などで肩関節の脱臼が起こり、それが癖になって肩が外れやすくなってしまった状態です。

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
野球やバレーボール、サッカーなど、どの様なスポーツでも起こり得ますが、ラグビー、アメフト、柔道などのコンタクトスポーツに多いと言われています。
どのような痛みが生じるか 脱臼を繰り返したり、スポーツや日常生活動作で外れそうな不安定感や疼痛を生じる場合があります。ひどくなると、寝返りでも外れてしまうこともあります。
どのような治療をするか リハビリテーションなどを行っても改善が見られない場合は、完治させるために損傷した骨や靱帯を手術にて修復する必要があります。(鏡視下バンカート法)
当院ではほぼ全例関節鏡視下手術を行っています。
完治までのおおよその期間 入院期間は3~5日と学校や仕事になるべく影響が出ないようにすることが可能です。術後は装具を3週間ほど装着して患肢を固定します。個人差はありますが、術後3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月で大抵のスポーツ復帰が可能となります。ただし、ハイレベルのスポーツ活動で元のスポーツレベルまで復帰するには、筋力の回復に6ヶ月以上リハビリテーションを行う場合もあります。

腱板断裂

肩の痛みはいわゆる四十肩、五十肩などと診断され長く痛みが続いてしまっていることが多いのですが、その中には、腱板断裂などによる痛みで苦しんでいる方が多く含まれています。その場合、MRIなどで精査をして治療方針を決めていく必要があります。

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
スポーツや日常生活時に転倒して手や肘をついて受傷したり、重いものを持ち上げようとして肩を捻ったりといった外傷を契機としたり、明らかな外傷がなく発症することもあります。
どのような痛みが生じるか 症状は肩の挙上困難等の運動障害、運動痛、夜間痛などを認めます。五十肩と違うのは、拘縮、すなわち肩関節の動きが固くなることが少ないことです。
どのような治療をするか リハビリテーションや注射などを行っても改善が見られない場合は手術が必要になります。
当院ではほぼ全例関節鏡視下手術を行っています。疼痛対策も現在、ブロック(痛み止め)を持続注入し術後も安心して過ごせるよう工夫しております。また、リハビリテーションも充実しており、術後の機能回復にも安心して頂けるよう努めています。
腱板断裂 腱板断裂
完治までのおおよその期間 術後は装具を3週間ほど装着し患肢を固定します。入院期間は1~3週間程度とすることが可能です。個人差はありますが、術後2ヶ月で日常生活復帰、3ヶ月で軽作業、6ヶ月で重労働可能となりますが、術前の状態が不良な場合(関節が固まってしまっていたり、筋力が極端に落ちてしまっていたりする場合)は術後さらにリハビリテーションを必要とする可能性もあります。

投球障害肩

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
投球障害肩とは、野球やバレーボール、テニスなどオーバーヘッド動作でボールを投げたり、打ったりする時に疼痛を生じるスポーツ障害です。
どのような痛みが生じるか 投球などのオーバーヘッド動作時に疼痛を生じます。
どのような治療をするか 治療はリハビリテーション(運動療法)が中心で、肩の問題だけでなく、肩甲骨や胸郭、体幹、股関節などに問題がある場合があり、肩肘に負担のかからない全身を使ったフォームを習得できるようなコンディショニング作りから始めます。
しかしながら、肩関節に損傷部位がある場合(上方関節唇損傷=SLAP損傷)、あるいは腱板関節面断裂等を認める場合、関節鏡視下手術が必要になる場合もあります。
当院ではほぼ全例関節鏡視下手術を行っています。関節鏡視下に剥離した関節唇を切除したり、修復します。また、腱板関節面断裂がある場合も同様に修復したりします。
完治までのおおよその期間 術後は装具を3週間ほど装着して患肢を固定します。個人差はありますが、術後3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月以降で大抵のスポーツ復帰が可能となります。

肩鎖関節脱臼

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
スポーツ中の転倒やコンタクトスポーツ中に肩を強打し、肩甲骨と鎖骨をつないでいる肩鎖靱帯を損傷し脱臼した状態です。
どのような痛みが生じるか 肩の運動障害や、運動痛を認めます。
どのような治療をするか 脱臼の転位の程度により治療方針が異なります。転位が軽度の場合はリハビリテーションによる保存療法が中心となります。転位が重度な場合は手術療法が必要となります。当院では関節鏡を使用して、なるべく小皮切で再建を行う場合もあります。
完治までのおおよその期間 術後は個人差はありますが、術後3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月で大抵のスポーツ復帰が可能となります。