スポーツ傷害とは

肘の傷害

肘関節遊離体(いわゆる関節ネズミ)

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
主に野球、体操などで起こります。
どのような痛みが生じるか 遊離体が収まりの良いところにいれば症状がない場合もありますが、動き始めると肘が動く角度に制限(伸びない、曲がらない)や痛みが出たりします。
どのような治療をするか 成長期、特に小学生は完全に遊離して(はがれて)いなければ自然につくか、改善するか経過をみます。ただ、肘が動く角度に変化が出れば早期に手術も検討し、慎重に見極めます。
肘関節遊離体 肘関節遊離体
完治までのおおよその期間 手術の場合、関節鏡で行います。入院期間は3~5日と学校や仕事になるべく影響が出ないようにすることが可能です。術後は特に固定をしません。肘の角度にもよりますが、術後2ヶ月でスポーツ完全復帰を目指します。
遊離した骨と軟骨が大きい場合、骨軟骨移植を行っております。その場合、復帰は3~4ヶ月が目標となります。

テニス肘

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
テニスやゴルフなどのスポーツや日常生活時に手を使いすぎて起こります。
どのような痛みが生じるか 症状は手首を上に返した時、指を伸ばした時に痛みを感じます。特にテニスのバックハンドで痛みが出ることがあります。
どのような治療をするか 主にリハビリテーションや注射などを行って治療します。
完治までのおおよその期間 基本的には腱鞘炎と同じです。安静だけでも一時的に改善しますが、使い方の工夫もしていかないと再発してしまうので、ストレッチなどの予防も大事です。

野球肘

どのようなスポーツで
起こりうる傷害か
野球で起こり、痛みの部位によって内側型野球肘、外側型野球肘、後方型野球肘と分けることがあります。
どのような痛みが生じるか 投球時に肘内側、外側、後方に起こります。
小学生低学年から痛みが出やすいのは、内側型野球肘です。
小学生後半、中学から痛みが出やすいのは、外側型野球肘で遊離体になることがあります。(離断性骨軟骨炎)
中学後半から高校生で後方型野球肘(肘頭骨端線離開、肘頭疲労骨折)になることが多いです。
どのような治療をするか 治療はリハビリテーション(運動療法)が中心で、肩の問題だけでなく、肩甲骨や胸郭、体幹、股関節などに問題がある場合があるため、肩肘に負担のかからない全身を使ったフォームを習得できるようなコンディショニング作りから始めます。
しかしながら、復帰を急ぐ場合は手術が必要になる場合もあります。
内側型野球肘に対しては高学年になれば靭帯再建術、外側型野球肘に対しては関節鏡手術や骨軟骨移植、外側型野球肘にはスクリュー固定など状況に応じて早期復帰を目指して行います。
完治までのおおよその期間 それぞれ状況に応じて復帰までの期間は大きく異なりますが、内側型野球肘は比較的早期に復帰することが多いです。
外側型野球肘、後方型野球肘は悪化すると長期に治療を要するので悪化する前に診断をつけることが大切です。 完全に野球自体禁止することは少なく、ポジションや病態の状況に応じてバッティングや捕球練習など許可していきます。